織物文化に触れる旅 in 京都
5月30日 雨の京都に向けて9名のメンバーで新幹線に乗り込みました。
織物文化の原点に触れる旅、また急遽、特別企画京都町屋見学にも参加させて頂きました。ご尽力くださった皆様に本当に感謝です。
今回、京都は川島織物セルコンさんの工場見学と織物文化館の見学へと行きました。個人的にもずっと行ってみたかった場所です。
更に、佐藤所長のスペシャルに面白くて、為になるトーク付きのご案内の元、ずっと高揚しっぱなしの私と皆さんでした。日本の織物の代表である西陣織の素晴らしさは当然のこと、文化背景となる歴史の深さにも改めて驚き幸せなひと時でした。あれだけの技術に関する説明を淀みなく説明をされる佐藤所長を改めて尊敬いたしました。実際に織物伝統工芸士の方の職人技を近くで見せて頂き、引き継がれるべき技は圧巻でした。綴れ織を織機で織る際、爪にぎざぎざを入れてそれを使い織っていく様も拝見できました。
縦糸と横糸、意匠として表面に出てくるのは横糸のほうだとか、蚕の一つの繭から3000mもの絹糸を紡ぎ出すだとか・・・ そして染色も職人さんの目と感覚で仕上げることや、
また、日本茜でしか出せない伝統の赤があること、琳派風の芸術的織物、図案を徹底的に書き直させる代々の川島甚平衛さんや、織り上がろうとする織物の少しの色の退色でも世には出さないという絹子さんの志や心意気にも触れられました。
そして、何よりも、作業中のお忙しい中でも、手を止めて説明を丁寧にしてくださる職人さん達、図案の色の設計図を作成される職人さんも普段は見せて頂けないような近くで手元を見せてくださいました。胸いっぱいになり、そして京都のお弁当でお腹いっぱいになり、やみそうにない雨にも京都の風情を感じながら今度は、町屋見学へ。
なんと、豪華、冨家先生のご案内付きで、川﨑家住宅「紫織庵」へ行きました。F.L.ライト風の意匠が施された、和風の中にうまく溶け込んだ洋風が素敵な珍しい町家です。大正ロマンが詰まった世界観でとても好きな雰囲気のお屋敷でした。ここでも、皆で盛り上がり、時間を忘れ、スケジュールがギリギリに・・・。床の寄木貼りに、この時代に
すでにカーテン、更にバランス付き、壁紙もダマスク柄、照明も凝っていて格天井にも
マッチしていて素敵、ステンドグラスに暖炉に、鎌倉彫の建具も、堪らない空間でした。
そして和の空間へと足を進めました。メインのお庭とお茶室です。まず、先に廊下の、とても透明度の高いガラスを目にしました。阪神大震災の際にも割れなかったという丈夫さに驚かされながら、これにも昔のガラス職人の技が生きていると思いました。良いものを長く引き継いでいくこと、素敵なことだと思います。茶室は4畳半、言葉では表現できない、落ち着いていてなんとも言えず、自然と座りたくなる空間でした。おもてなしをする方が茶室へと出てくる箇所が、一部畳ではなく板になっていました。これも敢えての意匠なのかな?など、意味を見つけながら見学し、次は着物の下に着る長襦袢のデザインの歴史に触れて、この家のご主人ともお話をさせて頂き、かわいい浴衣に舞い上がりました。
次の目的地、釜座町屋「斧屋」にご案内して頂き、数年前に改修された場所です。冨家先生も携わる町家を残す・引き継いでいくプロジェクトの元、昔ながらの工法を用いて、普段は一緒に仕事をすることのない職人さんや地元の皆さんが結集して造った町家です。町内会にも使われていて、今現在に息づいている町家だと感じました。奥に縦長に進み、中庭に手水鉢もあり、懐かしい暖か味を感じました。京都の職人さん達の熱い想いがこもっていました。
もちろん、冨家先生設計の二寧坂のスタバへ行きました。スタバとは思えない外観と内装。和の中庭も素敵過ぎました。見事にスタバと和が融合していて、半分くらいは外国人のお客さんで賑わっていました。二階には、畳の一段上がった席にお床がしつらわれ、
ほっとする椅子と照明使いが素晴らしい空間でした。ほっこりとお茶を飲み帰路へ。
この旅は、充実・満足この二言に尽きます。『歴史・伝統・技』言葉では良く聞きますし、目にもしますが、本物を『見て!触れて!感じて!』が出来たことを幸せに感じた
一日でした。それを共感できた方々とご一緒させて頂いた時間も幸せでした。
OIC会員 浅野直子